生観戦日(4日)も入ってくるので、16強は単独記事で。ちなみに、4日組では畝傍、一条、橿学が昨秋に続いての生観戦日登場です(一条は3季連続)

※近日中に追記します。

4日の結果

第1試合 畝傍4-0奈良
得点となったシーン自体はショートゴロエラーにポテンヒットの2点タイムリーなど、ツキがあったとも言えるものが多かったのですが、そこに至るまでの過程があったからこそ。
例えば4回の先制機はラッキーなイレギュラーバウンドで出塁した無死1塁のランナーを9番投手の坂本くんが単純に送るとおもいきや、1走梶田くんがスチール。粘った坂本くんの打球が難しいバウンドとなってショートのエラーを誘い1点。
5回の2点も先頭山口くんの2ベースはさすがチームNo.1の打撃センスの面目躍如でしたが、続く松田くんの投ゴロで迷わず三塁を狙う。投手東奥くんが弾いて3進できましたが、仮にきっちり処理されても挟殺プレーの間に松田くんが2塁まで進めるような練習はきっちりしてきてるのだろうと感じられたし、あくまで個人的な感想ですが、「飛び出した」ではなく、ああいうケースでは積極的に1つ前を狙うように徹底しているんだろうなと。それが戦力的に大きな差のある強豪私学と渡り合う上での「違い」となることは、一昨年の夏、同じようにしたたか・かつ大胆に戦い、関西中央、智弁学園を連破して決勝まで進んだ実績が燦然と証明している事実ですから、余計にそういう好意的な目で観てしまうところもあるのでしょう。
その後1死、1・3塁となった後で強打者の岡橋くんにセーフティースクイズをさせるあたりは多少こね回しすぎなんじゃないかと感じましたが、これが失敗となって再度1・3塁となった直後に2盗で2・3塁とし、岡端くんのポテンヒットによる2点が生まれるなど好投手東奥くんから決定打の乏しい中でしぶとく点数を重ねていくあたりは真骨頂であり、昨秋は逆に平城の機動力にヤラれた印象があっただけに、きっちり一冬越えての成長を観られたなと唸った部分でした。盗塁も試合を通しても5つくらいは決めたんじゃないかな?
投手陣については、長くなるのでまた8強以降の記事で。

敗れた奈良ですが、エース東奥くん、イメージよりは多少荒れてたとはいえ、さすがボールには力がありましたし、守備面も基本的には安定していて、失点を計算できるエースを中心に纏まりのある好チームであったことに疑いはありませんでした。
その中で、前述のとおり打たれたというよりは崩されての4失点、もう一本が出ずに完封負けの打線ともどもチームとして課題が出たのは確かですから、夏へ向けての修正点となってきます。この日良いも悪いも・・で目立っていた2番ショートの谷室くんは旧チームからの主力で、野手陣の中では頭ひとつ抜けた才能の持ち主ですから、彼を中心とした得点パターンをいかに確立させていくかだと思うのですが、昨日観た限りはまだまだ試行錯誤の過程だなと。
ただ、投手陣は東奥くん以外にも今どきにザトペックスタイルの右腕窪田くん、小柄ながら球威のあるボールを投げていた右腕池田くんと居て、選手層の厚いところは見せてくれましたし、シード勢からしても序盤から対戦するのは嫌な相手でしょうね。

・第2試合
橿原学院15-14高田商(延長10回)
橿学のエース木曽くんの出来が秋を知るものとしては信じがたいほどに悪く、打線が3点差を追いついてくれた後は悪いなりに試合を落ち着け始めたかに見えた6回表の4失点でついに降板。以降は稀に見る打撃戦となり、四死球、暴投、失策も乱れ飛んでの3時間ゲームに。とはいえ、9回表に4点差を追いついた高商の粘り、10回に一度は勝ち越されながら、裏の反撃で逆転サヨナラとした橿学打線の反発力は見事。最後は1点差2死満塁という一番盛り上がる形になり、息を呑む展開となったことは確かでした。10倍くらい誇張して書くなら、昨夏の仙台育英×浦学みたいな試合。お世辞にも好ゲームではなかったけど、関わった選手たち、あるいは一挙一動を見守った関係者にとっては、長らく忘れがたい試合になったことと思います。

個別に目立ったのは、橿学ではトップの長谷川くんが秋に観た印象より数倍たくましいトップバッターになり、展望で触れた5番捕手の櫻井響くんはいっそう分厚い体つきになった印象で、制球に苦しんだ木曽くんのリードには苦心しつつも打つ方では逆らわず右方向かと思えば、レフトスタンドへ豪快に同点3ランを叩き込むなど魅力いっぱい。ただ、脚力がないゆえ、次の越尾くんがそんなに悪いバントではないのに2度とも失敗という形があった点は7番の喜村くんが当たっていただけに少し打線の流れとして考慮すべき点があるのかなと感じましたね。

一方の高商では、1番青沼くんの俊足がひときわ目を引き、旧チームから出ている竹中、塚本の二遊間が健在、4番仲山、5番吉本、6番岡本の右打者3人も強打者で、下位打線まで木曽くんのカウントを取りに来た甘く入ったボールを積極的に叩く姿勢も素晴らしく、予想以上に充実した顔ぶれが揃っていました。青沼、谷口の俊足1、2番をより活かした采配などがあれば、夏もある程度の得点力を期待できそうな感じでしたね。
ただ、投手陣は2番手の小柄なサウスポー宮崎くん、3番手のアンダーハンド石塚くんも力投したものの、やはり絶対的な存在はエース中垣くんだろうというのが率直な印象。この日も6回に4点を勝ち越し後、すぐ一発を浴びた流れを変える意味での継投だったと思うのですが、一度外野に回すような形なら違った展開もあったのかなと。

第3試合
天理10-4一条
天理の先発は本来のエースである2年生右腕橋本くんではなく、3年生左腕信田(のぶた)くん。初回、一条・久保くんらのタイムリーでいきなり3失点、2回にも満塁のピンチを迎えるものの、石田くんをホームゲッツーで0に抑えると、落ち着きを取り戻して以後は手堅い投球。
打っては初回、2回とチャンスを逃していたものの、3回に4安打集中で追いつくと、続く4回には大橋、坂口の2者に2ランが飛び出すなど一挙5点。7回からは3年生右腕前田くん、最終回はエースナンバーの3年生右腕(サイドハンド)岡尾くんと繋ぎ、危なげなく一条打線を無得点に抑えました。
切れ目なく長打を打てるバッターが揃う打線の迫力は評判通りで、采配も成熟度はまだまだながら、橋本監督らしく簡単にはやってこない嫌らしさをよく発揮していたかなと思います。
初回の3失点と言い、コールドで勝ちきれなかった終わらせ方と言い、決して万全という勝ち方ではないですが、この世代に限ってはライバル智辯はおろか、奈良大、橿学といった他の私学と比べれも、公式戦での実績、経験値の差があるわけで、現段階でどうこうすべき問題では無いでしょう。下級生も多く、夏までにまだまだ伸びていけるチームです。
個別には、新2年生にして中心打者の存在感十分な貞光(1番セカンド 左打ち)、富木(3番レフト 右打ち)、坂口の(6番ファースト 右打ち)の3人は、今秋以降も大いにクローズアップされていく存在になりそう。6回に10点目のタイムリーを放った寺崎(3年 左打ち)が代打に控えているあたり、層の厚さは智辯に比肩すると言えるでしょうね。

敗れた一条ですが、エース中谷くんは観戦縁もあり3季連続で観ているのですが、10点取られたこの日も決して悪くなかったし、以前よりは格段に下半身を使えるようになった印象のフォームで天理相手に真っ向勝負を挑んでいました。ただ、以前からもそうですが、どうしてもセットになったときに投球、あるいはフォームにもせわしなさというか、メリハリを失ってしまうところがあるので、投球内容以上の失点になってしまっている勿体なさはありますね。ただ、ベンチに退いてからもよく声が出ていましたし、早い時期から主戦を務めてきた大黒柱ゆえの責任感、あるいは裏返としての周りからの信頼感のようなものは大いに伝わってきました。間違いなく今季の奈良県を代表する選手の一人でしょう。
その他には、2番手で投げるのでは?と見ていた2年生の川内くん、昨秋の橿学戦で先発していた投手でしたが、この日(というかこの春?)は野手に専念。秋の2番から上がってトップに入り、左腕の信田相手に猛打賞。リードオフマンとしての役割を遺憾なく発揮していました。さらに昨秋9番の乾くんも2番に上がってつなぎ役として機能。
それ以外では5番久保くん(2年 遊撃・右打ち)、6番中嶋くん(3年 レフト・右打ち)がタイムリーを含む複数安打。また、昨秋トップを打っていた長谷川くんや3番の福田くんがこの日はベンチスタート、また4番を打っていた中谷くんもこの日は8番でした。
代わりに3番石田くん、4番富中くんの2年生が中軸に据わる打線でしたが、いずれもノーヒットで同じ2年生の原田くん、奥谷くんに途中交代と、このあたりはまだまだ試行錯誤の感も。それだけの能力があるからこそ、上級生を押しのけて起用されるわけですから、彼らが本格化されていけば夏にもう一段怖さのある打線ということになる。夏にどういった布陣で挑むことになるのか注目したいですね。
投げては中谷を受けた右腕神山、右サイド(アンダーに近い)保井も、失点すればコールド負けの状況でよく凌ぎ切り、夏へ向けて手応えあるマウンドとなったでしょう。下級生にも前述の川内くん、原田くんが投げられるので、絶対的エースを中心に層の厚さは十分担保されている陣容かなと。

第4試合
奈良朱雀10-9関西中央
朱雀が6-0とリードした4回終了時点で帰宅したので、試合全体の感想については述べようがないですが、目当てだった関西中央の江藤投手を2回途中6失点でKOした朱雀打線はここ数年同様、下位まで振りが鋭く、個々に繋ぐ意識もしっかりした充実のラインナップでした。
基本的には3年生を並べる印象が強い朱雀打線の中で3番、5番に入っていた2年生の庄野くん、南くんは起用に納得のバッティングセンスがあり、挟まれる形の4番中井くんは二塁守備も安定の実力者。6番吉村、7番中村にも長打力があり、このあたりも下位打線の白武が1大会2発を放った旧チームを彷彿とさせる部分かなと。
投げてはエース歌代くんが長身ながら思っていた以上に純正のというか、吉田一将ばりに綺麗なフォームのスリークォーターハンド。四球もいくつか出していましたが、ハッキリしたボールを続くという形ではなく、球種では持ち味であるスライダーが「これぞ」の球筋でスライドしていく打者にとってはかなり厄介なボールになっていました。
マウンドさばきも落ち着いていますし、二塁牽制で俊足の野辺地くんを刺すなどフィールディングも良かった。序盤の出来を観ていると、最終的に9点も取られたのが信じられないですし、このあたり岩城くん以外を計算しづらかった昨年と同様、もう1枚信頼できる投手が台頭してくれば全然違ってくるんだろうなあという惜しさはありますね。

敗れた関西中央は江藤くんが苦しい内容。中には良いボールもあったのですが、全般に制球がまとまらず、朱雀打線の好球必打の前に立て直す間もなく6失点。2番手の鳥居くんが試合を作りなおして後半の逆襲へ結びつけたようですね。鳥居くんは2イニングちょっとしか観ていないものの、中背の右腕で凄いボールを投げるわけではないながら、オーソドックスな好投手らしい好投手という印象で、秋に江藤くんを押しのけ主戦を張っていたのにも納得の投球でした。打線では昨夏に1年ながら主軸を張っていた選手が出てなかったのは残念でしたが、出塁率の高い1番捕手の野辺地くんを井上、向井ら中軸が返す形はできていると思うので、強いチームとの練習試合も経るであろうこれからの時期の強化次第では、当然上位を狙える一角にあることは間違いない。
あとはなんとか江藤くんが復調してくれないかな・・・ということなのですが、バッティングも良い選手だけに、うまく切り替えて起用していく判断も必要になってくるかもしれません。


3日の結果
大和広陵6-1香芝 五條6-1西の京 桜井2-1高田 智弁学園10-0奈良高専(5回コールド)

香芝は4季連続8強以上ならず。広陵がやはりこういうカードではきっちり先発させて来た立田が1失点完投勝利です。
一方の香芝も重要な一戦では、この日のように水原くんが先発するのですが、7回までは2-1だったようなので、きっちり試合を作る投球は出来たということなのかな?休養十分の立田相手では分が悪かったですが、投打ともにレベルは高く、ノーシードとなる夏にダークホースとなる余地は十分にありそうです。
広陵ですが、打っては、やはり先制した上で、終盤の大量点という勝ちパターン通りの戦いに。大会前にも書いた通り、序盤から圧倒する試合運びが出来るわけではないにせよ、立田くんが先発した試合ではこういった得点能力を発揮するんですよね。この試合では実に7本もの長打(すべて立田くん以外)が出ており、個々の振りもしっかりしているのかな?



4日の展望
畝傍×奈良
県内有数の進学校対決。両校とも公立校ながら、例年打線に魅力のあるチームを作り上げているのも共通点。
畝傍は鈴木、奈良は東奥の両右腕がエースナンバーですが、いずれもエースを後ろに置いての継投で勝ち上がる形を採っていますから(初戦は両校とも3人の投手を起用)、どれだけいい形でエースに繋げるかでしょう。
昨夏のプロフィールを観ただけの興味ですが、奈良の窪田くんという投手は身長があるのでどういう投手なのか気になります。

高田商×橿原学院
初戦で湿っていた橿学打線が高商のエース中垣くんを捕らえられるか。投げてはエースの木曽くんが頭から投げてきっちり試合を作る締まった展開を期待したい。
一方の高商、ここ数季元気が無いですし、この辺で強豪私学を討って、大いに存在感を発揮してもらいたいもの。

天理×一条
一条が初戦で登板させている2投手は秋に投げていなかったので気になるところですが、怪我などないなら、先発は1年の秋から主戦を張ってきた中谷くん(右腕 3年)でしょうから、天理を相手に真っ向勝負での力投を期待したい。一方の天理・橋本も生で観るのは初めてなので、楽しみです。

関西中央×奈良朱雀
関西中央・江藤、朱雀・歌代の長身投手対決。両投手とも新チーム以降観たいと思っていた存在なので、この試合も決して帰りません(笑)江藤くんは練習試合で、歌代くんは秋の公式戦で天理を抑えて勝ち投手になっている好投手ですが、立ち上がりがあまり上手くないようなことも聞くので、先ずはその点からチェックしたい。
試合は、大きな力の差はないと思いますし、よほどどちらかの投手が乱調にならない限りは接戦で推移していくでしょう。




3日の展望
香芝×大和広陵
広陵はシード獲得に最大の難関と言っても過言ではないだけに、立田くんを頭から持ってくるか。そうでない場合も含め、中村くんを中心に力のある香芝打線がどれだけ点を取れるかでしょう。香芝クラスが相手だと、ほぼ間違いなく立田くんが投げてくると見ていますが。

五條×西の京
どちらも前の試合は秋の主戦ではない投手が完投ですが、本来のエースは五條・的場くん、西高狭川くん(初戦に投げています)だと思うので、継投がどうなるか注目。もちろん、五條・伊原、西の京・大園とも、観たことがないので想像以上にいい投手なのかもしれません。

桜井×高田
両チームとも複数投手の継投で5点前後の勝負を想定か。打力では桜井が上、抑え役を務めているっぽい岡本くんに力がある分、投手力はやや高田が上か。

智弁学園×奈良高専
高専は、昨秋8強で完敗した王者に再挑戦。エース岩名の粘投、持ち前の強打発揮でどこまで食い下がれるか。智弁も、松田が3試合連続先発なら、なかなかの試金石となりうる相手でしょう。