阪神を叩くことが第一義の人たちが今回の鶴岡一成獲得にあたって、「正捕手をプロテクトから外してでも、若手捕手育成の姿勢を貫くDeNAと阪神の違い」みたいなことを書いてて、「何故、この人達はDeNAがFAで鶴岡慎也獲得に動いてたことをこうも正々堂々とスルーできるんだ」と半ば感心していたのですが、改めてチェックし直すと鶴岡慎也獲得の記事が出たのは一紙だけ、しかも実際の交渉にDeNAは一度も乗り出していなかったのか。
ならば・・と首肯しかけて、いやいや、よく考えれば、阪神だって、公式のコメントとして「獲る」とも宣言していなければ、交渉のテーブルに着いたことさえなかったんだぞという事実を付け加えないわけには行かなくなる。だのに、結果は阪神だけが面白がったような「怒りの撤退」扱いを受け、似たようなことをしているチームとの比較で「これほど違う」と書かれる不思議。金本の衰えとともにアンチを卒業すること数年、そんなこんなで阪神と阪神に関わる関係者の方たちが少なからず不憫に思える事のほうが多くなってきた今日このごろでございます。



IN
△岩貞祐太 投手 横浜商科大(ドラフト1位)
△横田慎太郎 外野手 鹿児島実高(ドラフト2位)
陽川尚将 内野手 東京農業大(ドラフト3位)
梅野隆太郎 捕手 福岡大(ドラフト4位)
△山本翔也 投手 王子製紙(ドラフト5位)
△岩崎優 投手 国士舘大(ドラフト6位)

△吉見祐治 投手 千葉ロッテマリーンズ(フリー)
オ・スンファン 投手 三星ライオンズ
マウロ・ゴメス 内野手 ワシントン・ナショナルズ(MLB)


OUT
久保康友 投手 →横浜DeNAベイスターズ(FA)
ジェイソン・スタンリッジ 投手 →福岡フトバンクホークス(フリー)
ブレイン・ボイヤー 投手 →サンディエゴ・パドレス(MLB マイナー契約)
伊藤和雄 投手 →阪神タイガースと育成選手契約
林啓介 投手 →西濃運輸
△ロバート・ザラテ 投手
清原大貴 投手 引退
橋本良平 捕手 →パナソニック
野原将志 内野手 →三菱重工長崎
藤井宏政 内野手 →カナフレックス
穴田真規 内野手 →箕島球友会
ブルックス・コンラッド 内野手 →サンディエゴ・パドレス(MLB マイナー契約)
黒田祐輔 外野手
林威助 外野手 →台湾・兄弟エレファンツからドラフト3巡目指名
浅井良 外野手 引退
桧山進次郎 外野手 引退(野球解説者)



<退団選手概観>
スタンリッジ退団に関しては様々意見があるでしょう。ただ、彼の抜けた先発陣、確かに穴は小さくないけど、それでも能見、藤浪、メッセの3本柱は健在。一方で中継ぎ以降は昨季こそ上手く回ったものの、主力は福原、安藤、加藤ら30代半ば以上のベテラン勢だったわけで、とても「去年良かったんだから」と楽観視し続けられる状態ではない。
ならば、どちらを優先させるかという点で、オ・スンファンを選んだということでしょうし、中期的な視点でも先発に外国人投手が2人というのはあまり健全な状態ではないですから、今後2人同時に・・・という事態で大幅な戦力ダウンを強いられるリスクを避ける意味でも、このタイミングでの決断になった。あくまで推測ですが、少なくとも編成の志向としては正常かつ十分に理解できる動きだったように感じています。
勿論、計算できる戦力であったスタンを出して、オ・スンファンなりゴメスなり未知数の戦力を云々という意見も分かるのですが、逆に言えば、それができるのもマートンとメッセの慰留に成功したこのタイミングだからこそではないでしょうか。

また、久保の退団にしても、スタンの穴を埋める計算がもっともしやすい戦力という意味で確かに痛いのですが、逆に考えれば、他の投手にとってはそれだけ例年にはないチャンスが広がっているということ。現状、3本柱に続く見込みなのは復活を目指す岩田、榎田ですが、若手~中堅の秋山、白仁田、鶴、小嶋、歳内、岩本、岩貞(ルーキー)らにも自ずとチャンスは訪れるでしょう。これだけ揃って「ローテの層が薄い」と言われるんだから、個人的にはなんとも贅沢な話だなあ・・・と。あれだけ若手を使え、若手を使えと言ってた人たちは何処へ行った?

<主要選手別分析>
スタンリッジ 代替戦力:榎田大樹、岩田稔、秋山拓巳、歳内宏明、白仁田寛和
上記の通り。
久保康友 代替戦力:上に同じ+中継ぎ戦力と捉えるなら、渡辺亮、西村憲
先発復帰なら7~8勝計算できる投手だけに流出は痛手だが、現有戦力の底上げでも対応可能。
ボイヤー 代替戦力:玉置隆、田面巧二郎、金田和之
まっすぐに力があり、一定の戦力にはなっていた。「外国人5番手」としての地位を受け入れるならば残留もあり得たが・・・
浅井良 代替戦力:俊介、狩野恵輔
大和、俊介の1軍定着で出場機会を減らすも、まだまだ地力はあっただけに他球団からのオファーないまま引退を決意したのは意外だし、残念。
桧山進次郎 代替戦力:今成亮太、森田一成
現役最終打席となったCS第2ステージ第2戦でミコライオから放ったホームランは、まさに「代打の神様」と称された男の面目躍如、その名を永く記憶に刻みつける一発だった。


<新加入選手概観 ドラフト加入組>
こちらの該当部分を御覧ください。

<新加入選手概観 その他加入組>
退団選手の項ですでに触れたオ・スンファン以外では、やはり4番候補として期待されるゴメスの存在がクローズアップされますが、とにかく結果を出して長打力不足のチームを救えるかどうかという一言ですし、他に書くこともないかなと。
あとは鶴岡。DeNAの項で触れた通り、DeNA側としては「掴ませに行った」結果の狙い通りだと見ていますが、阪神サイドとしても「戦力を削ぐ」ということもそうだし、もちろん戦力的な意味においても獲得のメリットは大きい。冒頭で触れたとおり外様の捕手ばかりを獲って・・・という批判も出ているわけですが、今回の補強は、FAやトレードのような積極的な手段と同一視すべきではないあくまで偶発的なものですから、臨機応変な補強であったと「支持」する声も結構多いですよね。
ここからは個人的な見解ですが、現在の阪神における捕手事情って、決して若手を育てるつもりがないわけでもベテランの起用に固執しているわけでもなく、純粋に30代なかばになってもキャリアハイを更新し続け、オールスターにも選ばれるレベルの成績を残している藤井の地力が現状では他の選手を凌駕しているというだけのこと。そんな中でも12年は小宮山、13年は清水と中堅どころの捕手が自己最多の出場機会を得ているわけで、なんとなくの印象操作よりはずっと多くのチャンスを得ています。今季もプレシーズンからの競り合いにおいて、彼らがウィークポイントである打撃面において進境を見せるなどレベルアップした姿を示せれば、首脳陣は(藤井という正捕手だけはある程度優先させた上で、ですが)喜んで彼らを開幕1軍入りの28人に入れるだろうし、そのことはルーキーの梅野、あるいは日高、鶴岡に関しても同様のはず。少なくとも、人的補償で獲った選手がいわゆる「一軍保証」のような扱いを受けるとは到底考えられません。

<2月以降の展望>
ただ、上記した通り鶴岡の獲得はきわめて偶発的なものでしたから、三塁コンバートに挑む今成を除いても捕手の在籍人数が9人というのはさすがに多い。余剰人員にならざるを得ない選手がいるなら、開幕前、開幕後問わず、彼らを見返りとして、弱いポジションを補うという選択も、価値に見合う限りで敢行されて然るべきだろうとは思いますね。
また、現状支配下人数も残り2枠ほどだったと思うので、あまり多くは獲れませんが、在籍4人の外国人補強も視野に入れているのは確かでしょう。ゴメスがダメなときは素直に新井貴に一塁を任せるとして、メインは投手の候補ということになるのかなと。

<主要選手別分析>
△岩貞祐太
<望外>残り1~2枚の競争となっている先発ローテの枠にルーキーイヤーから飛び込み、7~10勝。「ポスト能見」の台頭を強く印象づける。
<ノルマ>左の先発候補は多く、今年はファームのローテに収まって、きっちり結果を残していくくらいの余裕があっても大丈夫。夏場以降に1軍初お目見えくらいなら順調か。

△山本翔也
<望外>貴重な中継ぎ左腕として、50~60試合に登板。ショート、ロング問わずフル回転し、勝ちパターンへ繋ぐ役割を担う。
<ノルマ>とにかく層の薄いポジションゆえに年齢的にもタイプ的にも少しでも早く台頭してもらいたい存在に。どれだけ1軍で登板実績を残せるか。

△吉見祐治
<望外>戦力外を乗り越え、新天地で蘇った加藤康介のイメージ。もう一働きの気概も十二分だけに、持ち前の使い勝手の良さでチームの苦しい時期を支えたい。
<ノルマ>昨季の疲労が残らないわけのない安藤、福原、加藤の負担を減らす役目。コマ不足の時期があれば谷間の先発でも。数字以上に重宝される存在になりたい。
<失望>1軍登板機会に恵まれないまま・・・しかし、紆余曲折を経ての14年選手、2軍に甘んじたとしても、その中で若手~中堅投手に伝わるだけのものを残すだろう。

オ・スンファン
<望外>比較対象は藤川球児よりもイム・チャンヨンか?彼のキャリアハイ、1-2-35S 防御率1.46クラスの成績を残せば誰にも文句は言わせない。
<ノルマ>とにかく守護神として、数度の失敗はあれど、怪我や大きな波なく通年投げ抜いてくれれば。個人的には楽観的ですが、やはり終盤に疲れは出ると思うので、その時期にどうなるか。
<失望>待遇面の良さを思えば、期待値のハードルが上がるのはやむを得ない。出だしで躓く場面が目立つと一気に雲行きが怪しくなるだけに、そこが最大のポイント。オフには日本球界の先達、イム・チャンヨンとともにトレーニングに励んだようで、1年目の彼のようにオーバーペースになりすぎず開幕を目指す調整が功を奏すか?

ゴメス
<望外>ブラゼルが10年に残した .296 47HR 117打点。さすがにここまでHRは出ないだろうから、ホームランだけは10差し引いた数字で。
<ノルマ>去年の新井貴が.267 15HR 70打点。この数字を一回り良くしたくらいは。
<失望>いや、まあ大体分かりますよね(汗)


現有戦力編
<ブレイク期待の若手投手>
秋山拓巳
なぜ捕手事情では若手を使えと唱えるのに、若手投手に同じ煽りを投げかけない?それだけ期待されていないということなら、結果で見返すしかない!意地を見せて欲しい若手、1番手だ。
<ブレイク期待の若手野手>
森田一成
一昨年金本、昨年桧山と引退。貴重な左のスラッガーとして、今年は誰に言われるまでもなく最大のチャンスを自覚しているはず。今季から就任の掛布DCも期待を投げかけ、奮起を促す若手の一人で、1軍スタートのキャンプからの猛アピールを望んでいる。
<復活期待の主力投手>
岩田稔
昨季は終始不調でわずか2勝どまりに終わるも、スタンリッジ、久保の抜けた今季だけに、榎田とともに復活への期待が大きい。浮沈のカギを握る1人だろう。
<復活期待の主力野手>
福留孝介
もはや定位置を約束された存在ではない。屈辱の日本復帰年となった昨季からのリベンジを誓う今シーズンだ。昨季負った故障の影響も薄まり、キャンプでは序盤から精力的な調整ぶりで首脳陣を喜ばせている。