それ出羽(笑)今日は予告通り名門出羽を背負うホープ、出羽疾風の特集を。取り口の記載がやたらと長くなったので、プロフィールの方はサクサクと書いていきます。

出羽疾風龍二 24歳 出羽海部屋 初土俵:平成16年3月 出身地:愛知県 身長:177センチ 体重:119キロ

<プロフィール>
デビューから2年ほどは鈴の海の四股名。18年7月より出羽疾風となる。叩き上げでデビュー時は体重も80キロ台と小さかったですから、新三段目昇進には3年、新幕下昇進にはさらに3年を要しており、そこから2年ほどは幕下と三段目を往復、22歳となり八百長騒動を経た23年5月(ちなみにこの場所より、下の名前を本名の竜一から龍二へと変更している。理由は強そうだからとのこと)に三段目西4枚目で5勝を挙げて以降漸く幕下定着を果たす。
このあたりの時期には体もだいぶ分厚くなり、翌7月も勝ち越して、9月には最高位の西19枚目まで浮上、しかし、今一歩で勝ち切れない場所が続き中位に落ち着くと、24年後半は3場所連続負け越しで三段目目前まで番付を下げてしまう。九州こそ1点の勝ち越しでギリギリ幕下残留を果たしたものの物足りない内容・結果が続いていただけに、今年1月更新の「ベスト40」でも名前を挙げていませんでした(つくづく見る目がないなあ・・・と思います)。

見違えたのは今年1月(こんなのばっかでホントすいませんw)。7番相撲こそ優勝した鬼嵐に逆転で敗れたものの、後述する正攻法の取り口が冴え渡り、頭から6連勝で一気に番付を最高位近辺まで戻すと、去る春場所でも鮮やかな速攻の勝ち味はキレを失わず、5勝をマークし、来る5月場所は自己最高位にして、初の15枚目以内&一桁番付である西9枚目まで浮上させて迎えることとなります。24歳と関取になる年齢としては十分「機が熟した」段階、部屋では希帆ノ海、海龍と近い時期に一桁の番付を経験した良きライバルが虎視眈々と「部屋久々の関取」の座を狙っているのも環境としてはポジティブな部分ですから、大いに意識して、今年中の昇進を目指してほしいなと期待しています。

<取り口>
小さい力士ですが、気風の良い正攻法が持ち味。以前は立合いこそしっかり当たっていくものの、隆々たる上半身の筋力を生かし、左上手を引いての投げで振り回すような内容や相手の圧力に合わせるようにしてまともな引きからバタバタするような内容も多かったのですが、ここ最近は部屋の中立親方あたりがずっと指導されていることですが、大きな相手にも低く強い踏み込みから、相手の中に入っていく流れが格段に良くなっているし、下半身の運びも安定。取り口としても二の矢で突き起こしていく流れ、ブレずにサッと左右へいなして泳がせておいて、得意の左前廻しから崩し食いついていく流れ、二本入って一気に走るような相撲も増えて来ましたが、何にせよ立合いからの流れでまずはしっかり踏み込み、そこから自分は起きず、相手は起こして、かつ常に動かしながらの攻めだから効きますし、形がいいからこそ、勝機を見出してからの勝ち味も早くなってきます。

初場所は大砂嵐、春は濱口といった大きい相手を堂々と寄り切って持って行きましたが、前者は立合いで張って起こしに来る相手の動きに構わず鋭い踏み込みで素早く二本入っていく瞬発力に加え、一度肩透かし気味に崩してから差し手を深くして一気に攻めこみ、巻き変えられても上手を引きつけ、伸び上がらないように廻しを離して体を寄せる詰め、後者は踏み込みで勝り突き起こしての流れから、絞りながら左前廻し、出し投げで呼び込んでいるようには見えるのですが、しっかり腰を落として土俵を丸く使いながら・・・という動きですから、見た目以上に余裕はあるし、土俵際で相手の腰が高くなるところをグッと残し、右もねじ込んで後は逆襲という流れ。両廻しをしっかりと引きつけ、膝を曲げ腰を落として正対、相手の突き落とし等もしっかり警戒しての詰めも力強さいっぱいでした。

こういう小柄の筋肉質でスピードがあって、一定の上手さがあって・・・という力士に一番重要かつ必要な体格的なビルドアップ(多分、今は120半ばくらいあるんじゃないかな?)とそれに伴う内容面の力強さという要素を満たしてきましたから、24歳という年齢的にも、もう今年中には上に行かなきゃいけない段階に来たなあという印象ですが、それだけに初の一桁番付となる夏場所、どこを良くすると言うよりは、独特の雰囲気の中でどれだけ磨き上げてきた自分の相撲が取れるかだと思うし、とりわけ立合いに関しては、微妙に間合いをずらして来る力士もいますし、モロ手や張り差しに来る力士にしても、よりその精度が高くなってきますから、簡単に自分の踏み込みをさせてもらえないことも多いはず。その中ブレず迷わず、いかに既に完成に近い域に達している低く強い踏み込みに徹して、機先を制することが出来るか、最大のポイントになってくるところでしょう。

・・・で、その上で幾つか課題になりうるのかなあと思う箇所を挙げていくとすれば、カミソリ型というか鋭さ、速さはあるのですが、あまり膝だったり体全体を柔らかく使ってのクッション性で相手を仕留めるタイプではないのかなという印象があるので、もう少し取り口に、もちろん基礎・反復によって身体自体にも柔軟性が増してくれば、より相手にとって嫌らしい力士になってくるのではないかと見ていますし、苦しい流れでの粘り強さが増していくのかなと。
あと、少し気になるのは、差し方のところで、身体がない割にガッツリ入っていく印象があって、相手によりけりなところはありますが、これから番付を上げるとより大きい相手も増えてきますし、肩までしっかり二本入っても引っ張りこまれて、正面において抱えられたり胸を合わせられると厳しいですし、現状上記したように守りの面でやや弱いところがありますから、怪我も怖くなってくる。初場所に大きな大子富士相手に深く入ってすぐの投げで沈める相撲がありましたが、とにかく立合いに強く当たって相手を起こせるかが生命線なのは変わりないにせよ、そこから相手が軽い内にどう崩していけるか。踏み込みからの流れで簡単に「差してしまう」のではなく、ハズなどの動きも交えながら、崩して軽くしてから深く入っていく流れを作れれば、身体の力は強く、投げの強さもありますから、夏に対戦が予想される若三勝、芳東や今後対戦が予想される希善龍、徳真鵬といった大型力士との対戦における勝ちパターンも見えてくるのかなと思います。
その点、ここ数場所の取組を見直しても、あまり幕下上位以降の土俵を展望する上で指標になりそうなタイプの大きな力士とやっていなかったこともあり、興味のあるところだったので、挙げてみました。また、夏以降該当力士との対戦があった際には、アメーバの観戦記で内容について触れてみたいなと思っています。


次回に関しては、今場所ホントに全体として番付運の良い力士が多く、初の5枚目、初の一桁、初の15枚目以内というケースが続出しているので、はじめてそういう番付に来てどういう相撲を取れるかというところも見ながら、来場所以降に・・・ということにしたいなと思っています。もちろん、未記載の中で新十両を決める力士も複数出てくることとは思いますが、その場合はまた新十両紹介の記事に充てるということで・・・