番付発表まで10日を切りましたし、そろそろ急ぎましょうかね。。今日から2回は今場所新十両を決めた2力士についての新十両紹介的な記事を書いていきます。今回は日大出身、入門5年目にして悲願を叶えた木瀬部屋の大器・希善龍を特集!

※下の名前については、先場所までは本名の貴司だったのですが、新四股名にあたってどうなっているかを確認できないので、正式発表後更新いたします。

希善龍(出身:香川 所属:木瀬→北の湖→木瀬 年齢:27歳 初土俵:平成20年3月 身長:194センチ 体重:147キロ) 

<プロフィール>
高松南高~日大を経て、20年3月が初土俵。同部屋、同学年には日大時代の同胞、明瀬山(当時深尾)、禧勢ノ山(当時山下)らがいる。
学生相撲経験者だけに出世は順調で、20年7月には序二段優勝、翌9月も
同部屋山下との決定戦に敗れたものの三段目で全勝し、あっという間に幕下まで昇進すると、21年5月には東幕下17枚目まで躍進する。
しかし、腰高で投げに頼る粗い取り口だけでは、幕下上位の壁の重く厚い壁を突き破ること容易ではない。
その後、西16枚目というたった半枚の番付上昇に1年半を費やし、さらにそこから初の15枚目以内進出にもう1年半。その間概ね5勝~2勝くらいの大きく勝ち越すことも負け越すこともない、まさしく「一進一退」の土俵を続け、ともすれば埋没しかねない苦しい時期であったろうと想像するが、その中でも得意の左上手を引いた時の強さ、豪快さは異彩を放っていたことをよく記憶している。
転機としては、他の木瀬部屋所属力士にも該当することだが、親方の不祥事により部屋閉鎖の憂き目に遭い、北の湖部屋との統合を経験した22年5月から、昨年4月までのおそよ2年間にあると言えるだろう。幕内以下関取数名に幕下~三段目の地力・タイプの異なる力士が溢れかえる部屋の環境が全体の底上げ・旺盛なライバル意識の高揚に大きな活力となっていたことは複数の力士が証言する所で、亀井もその中で決して早期に結果の出た部類ではなかったにせよ、着実に成長。24年1月からは同部屋の肥後ノ城らとともに取り組んでいた加圧トレーニングの成果によって体重が一回り増加。腰高ゆえ押し込まれると軽さを露呈していた取り口にも変化が現れ始め、年6場所中5場所で勝ち越し、自己最高位かつ一桁の番付まで躍進させての新年だった。

そして、1月を4勝3敗と勝ち越し迎えた去る3月場所、右四つ左上手で前に攻める迫力ある取り口を発揮し、序盤から連戦連勝。6番相撲以降、星の関係で幕下下位の格下力士と組まれるやや幸運なところもあったが、いずれも落ち着き払った力強い取り口で投げ飛ばし、入門5年、ついに悲願の新十両昇進を決めてのけた。
新十両とともに四股名も本名から地元香川善通寺の一字をとった
希「善」龍へと改名。同郷では6学年下、同じ相撲道場出身の琴勇輝が先に十両、幕内を経験しており、同場所同期、前相撲で敗れて以来となる「同郷対決」も、早ければ来る夏場所から実現する。かつては大関琴ヶ濱、関脇神風や元小結、先代の琴錦(先々代の佐渡ヶ嶽親方)らを輩出するも、近年はなかなか関取が誕生せず、相撲後進県と言われた香川から2人の関取が誕生し、対戦の可能性があるということは、地元のファンにとってもきわめて明るいトピックスとなるはず。そのためにも、目標に掲げる元大関貴ノ浪のような豪快な「攻め」を身につけ、さらなる成長を遂げることが期待される。


<取り口>
長身で引っ張りこむように踏み込み、上手を取って強引・豪快に振り回す。その型がハマれば強いが、そうでなければ、とりわけ押し相撲力士に立ち合いで起こされて持っていかれると、腰高ゆえの軽さ・脆さを露呈していたのが低迷期。
そこからの変化を感じつつあったのが24年1月で、中日の千代丸戦は先場所を除いて彼の取組をアメブロの個別取組の記載で取り上げた唯一の一番だと思うのですが、それだけ「明確に変わった」と感じたから書いた記憶がありますし、奇しくも今年3月前に発売された「相撲」で前述の加圧トレーニングの件も記載された上、キッカケの場所として挙げられていたので、まさに正鵠を射たというかそんな心境でしたね。以下、そのときに書いた場所観戦記から適宜修正の上抜粋します。

>日大から入門4年目を迎え、今年を勝負の年と位置づけたい194センチの大型力士、これまではどうしてもそのリーチを生かし、得意の上手を引いての強引な投げで勝負を決める雑な取り口が多く、豪快さを有す反面、終始受け身な取り口ゆえ、突き押し力士への対応など脆さも否めず。所要5場所にして掴んだ幕下から一度も陥落はないものの、小幅な勝ち越し、負け越しが多く中位への定着に甘んじていた。
しかし、幕下力士を14~5名有し、いやが上にも触発される部屋の環境もあってかここ数場所で明らかに眼の色が変わってきたし、立合いこそまだまだ受け身気味であるとは言え、そのリーチを活かして上手を取りに行くまでの流れでとにかく我慢ができるようになってきた。右四つ左上手に組んだ後も、我慢して前へ圧力をかけていくし、上手の位置も浅い位置を引き、横吊りのような形で膝も使いながら、持っていくこの日の勝ち方などは無理なく自らのスケールを活かしきる素晴らしい内容。もちろん、まだまだ磨いていく箇所は多いが、明らかに変化を求め、前進の兆しを見せる大器の今年にぜひとも注目して欲しい。

このときから比べて、先場所あたりは右四つ左上手の勝ち味になるスピードも早くなってきたし、肉がついたことでそもそも押し込まれにくくなっていることに加え、押し込まれた流れでも慌てずに対応できている。取り口全般や顔つきのようなところにも余裕を感じるようになって、いよいよそのリーチやスケールを自らのものにしつつあるなといった印象を抱きます。
もちろん、本人が自覚する通り立合いの質にまだまだ課題は残るし、「こうなったら幕内力士相手にも通用する」という一芸があるにせよ、十両ともなればより立合いのスピードや駆け引き、中に入ってからの上手さが際立つ力士も多く、苦戦を強いられるところはあるでしょう。その中で、いかに「攻め」の勝ち味を強め、深めることができるかが鍵となってくるし、よく言われることですが、同じ投げでも下がっての投げ、呼び込んでの投げと、前に圧力をかけながら打つ投げでは雲泥の差があります。後者の相撲をどこまで増やせるかでしょう。
年齢こそある程度行っていますが、もう一つキッカケを見出してそういう攻めの迫力が増してくれば、大きな怪我をしたこともなく、大器晩成、今後が非常に楽しみな一人になってくるのではないでしょうか。

まずは夏場所、はじめて15日間とる土俵でどんな内容を魅せてくれるのか、楽しみに見て行きたいなと思っています。二桁勝っても二桁負けてもおかしくない、そんな印象なんですよねえ。


では、次回来場所もう一人の新十両力士、九重部屋の千代皇について。