1月版の更新が3月になってしまうw さすがにそろそろ巻きで行かないと。

投手の△は左腕 野手の△は左打ち 野手の◎は両打ち

IN
菅野智之  投手  ←東海大(ドラフト1位)
大累進    内野手 ←道都大(ドラフト2位)
△辻東倫   内野手 ←菰野高(ドラフト3位)
△公文克彦 投手  ←大阪ガス(ドラフト4位)
坂口真規  内野手 ←東海大(ドラフト5位)

△田原啓吾 投手  ←横浜高(育成ドラフト1位)
松冨倫    内野手 ←別府大(育成ドラフト2位)

香月良太  投手  ←オリックス(トレード)
△阿南徹   投手  ←オリックス(トレード)
マニー・アコスタ 投手 ←メッツ(MLB)
井野卓    捕手  ←楽天(トレード)
ホセ・ロペス 内野手 ←ホワイトソックス(MLB)


OUT
東野峻   投手  →オリックス(トレード)
△金刃憲人  投手  →楽天(トレード)
久米勇紀    投手  →日立製作所
ディッキー・ゴンザレス 投手 →千葉ロッテ]
△大立恭平  投手  →ソフトバンク(育成選手)
△古川祐樹  投手  →引退(巨人・バッティングピッチャー)
朝井秀樹   投手
齋藤圭祐   投手  →米球界挑戦
△宮本武文  投手   
土本恭平  投手   
真田裕貴  投手   →兄弟(台湾)?

中谷仁    捕手  →引退(巨人・ブルペンキャッチャー)
伊集院峰弘 捕手  →引退(巨人・職員)
エドガー・ゴンザレス  内野手
山本和作  内野手 →オリックス(トレード)
仲澤広基  内野手 →楽天(トレード)
△円谷英俊   内野手 →引退(巨人・職員)
△財前貴男  内野手 →引退
△田中大二郎 内野手 →引退(巨人・職員)
小林高也   外野手 →引退
ドラフト評価 90点
2年越しの相思相愛で菅野の1位指名を成就できた。
これに関してはドラフト直前期にあたるタイミングで一面にぶち抜かれることが今や定番にさえなりつつある、報知スポーツによる「志望球団以外は海外」報道に対する悪印象は決して拭うことはできないし、またそれに対するDeNA高田GMをはじめとする他球団首脳の批判・反発・懸念を示す見解に全面的に同意いたします。この件に関し、コミッショナーが何らの「チェック機能」を果たす意思をみせない以上はこの高田GMや楽天・星野監督が提起したような「正論」を粘り強く掲げていくしかないということでしょう
「何でそういうこと言うのかな?そんなこと言わずに、そうなったら勝手にアメリカに行けばいいだろ」という星野監督のコメントが全てだし、例えば「指名するのも拒否するのも自由、それだけのこと」というような、星野監督の問いかけに真っ向から向かうことのない論点ずらしには何の説得力もありません。

もっとも、そのようなマイナス要素を球団別採点の項で減点要因にすべきかといえば、日ハムと同様ノーというのが答えであり、むしろ高得点の根拠として成立させるのがきわめて妥当なところ。もちろん、1年のブランクがどの程度本人のコンディションに影響しているか未知数なところはありますが、先発投手陣にリーグ屈指の分厚さを誇る巨人だけに、決して「即戦力」を求められすぎることもない。開幕1軍だけに拘りすぎず調整していけば、自ずと順位に値する数字を残せる投手になっていくでしょう。

2位以下では野手の獲得に力点を置いた。後述する
その他補強と同様、「名より実」というか、現場と編成の密な意思疎通のもと、チーム事情を的確に考慮した上で戦力のバリエーションを広げる渋い選択をしてきたという印象がありますね。
2位の大累は俊足堅守でショートを中心に内野各ポジションをこなすユーティリティ。球界屈指の「代走屋」鈴木が晩年にさしかかりつつある時期にもあたる現状、俊足を生かして代走としても活躍することができれば、より1年目からの一軍定着にも近づけるでしょう。伸び悩みの感が強い藤村の競争相手という意味でも、タイプや世代の近い大累の存在は非常に「気の利いた」ものとなっています。また、3位では北條鈴木と評価していた高卒野手が先に指名される中で、打席の左右に違いあれ、次に評価していた選手ということでを指名。三塁や外野の主軸候補として、高橋由が現役生活に節目を迎えるであろう3~5年後に一躍、一軍の戦力として台頭してくればといった指名といえるでしょう。
4位公文は甲子園での活躍もまだ記憶に新しい社会人3年目の速球派左腕。昨年ルーキーながら1軍の中継ぎ枠に飛び込み鮮烈な活躍を見せた高木京に先発転向プランが浮上しており、穴埋めが出来ればベスト。もっとも、所属の大阪ガスが不祥事により活動を停止していた関係もあって、現実的には2年目以降、早くても1年目の夏場以降の戦力と見るのが妥当になってきます。
そして、5位の坂口は山本、仲澤と右の内野手(一・三塁中心)が2人抜けたところに飛び込む未完の大器。彼もまた1学年上で低迷している感の否めない中井にとって刺激を与える存在になるでしょう。チーム構成上、不足している箇所の選手ということで、2軍の試合で使ってもらえるチャンスは十二分にあるでしょうから、「ポスト村田」を目指し、1年目からの1軍出場を目指してほしいところです。

また、
8人の退団に対し、2人の加入にとどまった育成枠に関しては、3軍構想に一区切りをつけ、縮減の方向に舵を切ることに。これに関しては、決して清武氏の方針が云々ということではなく、ロッテ、ヤクルトの項で示したとおり、理念と現実の制度設計に多くの矛盾・乖離がある現状を思えばやむを得ないことと言うほかありませんし(勿論、広い視野を持って考えるなら「現実」の方を変えるべきというのは正論なんですけどね・・)、昨季以前も含め、任意引退を受諾した選手のほとんどに球団職員就任の処遇を与える「セカンドキャリア」面の配慮を鑑みても、「オピニオンリーダー」としての責務は果たしたと言えるはず。今季、球団に在籍している育成選手は13人。ヤクルトやロッテとの財政面の差異を考慮しても、今後は今季のような大幅減の方向に向かわずとも、当面10人前後の規模で継続させることができるのかなと見ていますが・・・

その他補強 85点
去年の戦力分析で「このバランス的にもきわめて安定した豪華戦力でしっかり優勝できるかどうか」と書きましたが、下馬評通り群を抜いての優勝、日本一にもなったことで、原体制も堅持されましたから、さらなる大補強に動かず、昨季の戦力をベースに、より効果的に「実」を重視する方向で戦力を厚くしていった今オフの陣容改造は理に適っていますし、07年~09年の3連覇時と比べても、働き盛りの日本人選手を中心としたチーム作りという意味での軸が確立されているのは明白。WBCへの大量派遣にせよ、主力野手不在によって、その分だけ有望な若手が1軍でモチベーション高くやれているわけですから、現状の数少ない「付け入りどころ」さえ底上げされてしまうことになっては、ホント手のつけようがありません(泣)

個別の補強について、全体が長くなったので、トレード2件に関しては 対楽天 対オリックス を参照して頂ければと思います。汎用性高くスタイル的にも巨人には少ないタイプでもある中継ぎの香月、貴重な左の中継ぎ阿南、一塁・外野で併用できるパンチ力豊かな左打者横川、リードに定評のある捕手の井野と獲得した4選手はいずれも、「実」を備えた貴重な戦力になりうる存在、高木康古城實松石井など他球団から加入し、重宝される戦力を励みや勉強材料にして一軍定着を果たしてほしいなと。
また、外国人選手は退団した2人に代わる2選手。全体でも投手4人、野手2人で、これも一時は育成枠含め、8人とか9人とかいましたから、 合理的な範囲にスリム化できている。エドガーに代わる5~7番一塁での戦力と期待されるロペス、セットアップの一員に加わることを期待されるアコスタともに、当然活躍することによってチーム事情は一層厚みを増すことになりますが、グライシンガーゴンザレスラミレスらを欠けばチームが機能不全に陥りかねなかった時代のような依存性は低く、まずは外国人選手同士の競争を勝ち抜き、開幕1軍入りを目指すことになってきます。

総合評価 88点
ドラフト、その他とも「渋い」補強なので、評価は分かれるとは思いますが、個人的には十分に意図が伝わる補強と判断したので高い点数をつけています。来季に向けても、補強の主眼は「過渡期」の続く野手陣になってくると思いますが、今年北條や鈴木誠也を狙っていたことを考えても、渡辺(東海大甲府)、上林(仙台育英)のような高校生の主軸候補を頭に持ってくる可能性もありそうな気はします。