3球団目は阪神。ドラフト、その他補強の両方において、話題に事欠かないストーブリーグでしたね。

IN
藤浪晋太郎 投手 ←大阪桐蔭高(ドラフト1位)
北條史也  内野手 ←光星学院高(ドラフト2位)
田面巧二郎 投手 ←JFE東日本(ドラフト3位)
小豆畑眞也 捕手 ←西濃運輸(ドラフト4位)
金田和之  投手 ←大阪学院大(ドラフト5位)
△緒方凌介  外野手 ←東洋大(ドラフト6位)

林啓介    投手 ←ロッテ(育成枠)
高宮和也  投手 ←オリックス(人的補償)
△日高剛  捕手 ←オリックス(FA)
◎西岡剛  内野手 ←ツインズ(MLB)
◎ブルックス・コンラッド 内野手 ←レイズ(MLB)
△福留孝介 外野手 ←スクラントン(3A)


OUT
藤川球児 投手 →カブス(MLB)
蕭一傑  投手 →ソフトバンク(育成枠)
鄭凱文  投手 →横浜DeNA(育成枠)
小林宏  投手
石川俊介 投手 →引退(阪神打撃投手)
△松崎慎吾 投手
横山龍之介 投手 →引退
吉岡興志 投手 
城島健司 捕手 →引退
△廣神聖哉 捕手 
△クレイグ・ブラゼル 
△平野恵一 内野手 →オリックス(FA)
△野原祐也 外野手 →BC・富山
△金本知憲 外野手 →引退
甲斐雄平 外野手 →引退
 
ドラフト評価 100点
小嶋達也白仁田寛和蕭一傑二神一人ら00年代後半に指名してきた大社世代のドラ1投手が相次いで低迷する状況下、09年4位で獲得の高卒新人秋山拓巳が1年目からいきなり1軍で活躍を見せたこともあってか、ここ数年は岩本輝歳内宏明一二三慎太松田遼馬ら「甲子園での活躍」が目立った高卒選手の積極指名を際立たせてきました。
1位で春夏連覇チームのエース藤浪晋太郎、2位で春夏連続準優勝チームの4番北條史也をダブル獲得することに成功した今回のドラフトは、金本知憲城島健司が引退、藤川球児平野恵一、クレイグ・ブラゼルが退団したオフの動向もあって、「スター選手」が待望されるチーム状況の中で迎えたこともあっただけに、近年の流れの集大成とも言えるような指名に。「甲子園の申し子」と評しても過言ではない地元出身の高卒ルーキーダブル加入は沈んでいたチームを取り巻く空気を急激に明るくさせる要因となったことでしょう。

とりわけ、1位競合12連敗と「ドラフト運」のなさに泣き続けてきたチームがこのタイミングで4球団競合の激戦をくぐり抜け、藤浪の獲得に成功した意味は計り知れない。期待は大きく、かつての松坂大輔や田中将大と同じく1年目からの1軍定着を求められることは間違いないと思いますが、それに応える能力は十二分に備えているし、性格的にも前向きかつ地に足の着いた振る舞いは「大人のプロ野球選手」そのもの。
「高卒1年目から過剰な期待は禁物」という声もそのとおりではあるのですが、今はそういう月並みな心配以上に、どれだけやれるかという期待に溢れる気持ちのほうが強い。やたらと「阪神だから」を強調して性急な結果を求められることを不安視する向きもありますが、彼ほどの選手ならば、オリックス、ロッテ、ヤクルトといった他の競合球団であれ、1年目からの1軍起用を計算したであろうことは間違いないわけで・・・
もちろん、阪神という球団において特有の懸念が存在すること自体は否定しないにせよ、それも決してすべてが彼にとってマイナスに働くわけではありません。少なくとも、最低限の結果さえ出ていないこの段階でアレコレ不安を垂れ流すことはアンフェアで取るに足らない「揶揄」であると言うほかないでしょう。

以下、3位の田面巧二郎、5位の金田和之はタイプこそ違いますが、いずれもまっすぐに自信を持つ投手。藤川が抜けたチームにおいて、「ポスト」を担いうる存在の確保は理に適っており、純粋な即戦力として計算できるかはともかく、高齢化が進む中継ぎ陣において、将来的に楽しみな存在となってくるでしょう。
また、4位では補強ポイントでもある守備力の高い捕手として、小豆畑眞也を獲得。あまりインフレし過ぎない順位で獲れたということで、これも収穫となった。
ただ、09年オフの城島以降、10年オフの藤井彰人、12年シーズン途中の今成亮太、そして今オフの日高剛と近年毎年のように他球団からの補強を進めているのも、生え抜きの中堅クラスが伸び悩みや怪我に泣いてきた現状所以。小豆畑の活躍には期待をかけつつも、すべてのカテゴリーにおいて有望候補の多い13年ドラフトにおいても引き続き余念のないスカウト活動が望まれるところです。大胆な戦力移動を促進した上、世代を問わず目玉クラスの指名に踏み切ってもいい時期でしょう。
6位の緒方凌介は故障明けで、まずはじっくり体を作っていくことになると思いますが、3拍子揃ったプレースタイルを着実にアピールしていくことが出来れば、いずれ重宝される存在となりうるはず。柴田、俊介、荒木らの伸び悩みもあって、ここもきわめて的を射た形の戦力補強となっています。


その他補強 85点
なんといっても、アメリカ帰りの西岡剛福留孝介の名前が際立ちます。一部で西岡の補強に対しては上本博紀や大和の存在を、福留の補強には伊藤隼太や中谷将大らの名を挙げ、「若手成長の機会を摘む」との批判が見られるわけですが、金本、藤川らの退団で大幅な財政的余裕が生まれた年度だけに、前年順位からの巻き返しを図るにおいて足りない箇所は決して少なくないチーム状況を考慮しても、ある程度の補強に動くのは当然のはず。
まだ1軍において確たる実績のない上本や伊藤隼と「心中」するべきであるかのような論調は「理想論」の域を出ないものであり、資金があるのなら「無駄遣い」にならない程度には市場への投入を惜しむべきではない。まして、実績の豊富なベテランが多くチームを離れた今オフ、怪我がちの藤井彰との併用が見込まれる日高剛も含め、実績のある選手を確保して、層を分厚くしておく補強に関しては妥当な補強戦略と評すことができると思います(もっとも、少なくとも2~3年の間常時下位に沈むことを覚悟の上でも、「若手育成」と唱えるならば、それはそれで筋の通った考え方ではあると思いますが)。

三塁と一塁の座を新井兄弟と争うことになりそうな新外国人のブルックス・コンラッドに関しては、決して長打を量産するタイプではないながら、攻守に積極的なプレースタイルのようで、和田野球の目指すスタイルにもスンナリ馴染めそうか。打撃はもちろんですが、守備面でも一塁よりは三塁にハマってくれれば・・・という編成上の目論見通りに行けば、ブラゼルの抜けた穴も十分に埋めうるでしょう。まずは早く実戦でプレーするところを見てみたい。

総合評価 92点
欲を言えば、五十嵐を逃した中継ぎ投手で即戦力クラスの上積みが欲しかったところですが、ドラフトの大成功に加えて、争奪戦になった西岡、福留を獲得、負担の大きかった藤井と併用できる存在として日高を手中にし、藤川以外の部分については長年の主力選手が抜けたマイナスを取り戻すレベルの補強は十分に成し得たと評価出来るだけに、90点くらいはつけられるでしょう。
ともあれ、「ベース」はどうにか定まった印象がありますから、後は名前が挙がっているいろんな若手選手がしっかり結果を残して、1軍定着を果たすことが出来れば、チーム構成上のバランスも良くなり、これ以上の大掛かりな補強を経ることなく、巨人に匹敵する豪華な戦力が整っていくはず。とりわけ、投手陣は鶴、秋山、松田、岩本らが1軍戦力として付け入る十分な余地が残されている状況。藤浪という大きな刺激材料にも触発されながら、主力に30歳を過ぎた投手が多くを占めるチーム事情を一気に若返らせるシーズンとして欲しいところです。