では、未記載力士について出来る限り紹介していきます。今回は未記載力士で唯一、今場所5枚目在位。ここ数場所で急速に力をつけてきたホープ、川成をピックアップ!

川成健人(出身:香川県 年齢:21歳 所属:尾車 身長:185センチ 体重:195キロ 初土俵:平成19年3月) 



 
<プロフィール> 
初土俵は土佐豊、丹蔵、徳真鵬ら大卒の関取経験者をはじめ、同じ叩き上げでプライベートでも仲が良いと聞く十両経験者の千代嵐など。当初の出世は非常に順調で、派手な成績を残すわけではなくとも、着々と番付を伸ばし、初土俵から2年足らずにして、幕下へと歩を進めています。
その幕下でも当初は2場所続けて勝ち越し、大いに期待されましたが、その後さすがにトントン拍子とは行かず、21年9月に記録した最高位東38枚目をを次に塗り替えるまで、実に2年を擁すことになりました。
その間、そしてその後数場所においても、なかなか自慢の巨体を生かした相撲を取りきれず、同期の千代嵐、同学年の琴勇輝が先に関取へ出世していくのを甘受する悔しさもあったでしょう。

ただ、そんな停滞の印象は新幕下から3年が経過した今年の夏場所以降で一変する。幕下下位で迎えたこの場所、頭から5連勝し、6番目の相撲こそ土俵際に逆転を喰らい、上述の通り同期生でもある丹蔵(当時寺下)の前に敗れましたが、7番相撲を取って、幕下で自身初となる6勝をあげると、自己最高位の名古屋も1勝3敗からの3連勝で勝ち越し、はじめて20枚目以内に進出した秋の4勝、そして初の15枚目以内となった去る九州場所での5勝と快進撃は続き、新年初場所はまさにトントン拍子の勢いで自身初となる5枚目以内、いよいよ間近に関取の座を視野に入れられる地位まで上り詰めてきた。

後述の通り、取り口にも格段の進歩が伴っての躍進。サイズばかりが注目される体格面もドッシリ感を併せながらの進化で大きな怪我の経験もないだけに、脆さは少ない。まずは、連日上位5番で取り、あるいは十両との入れ替え戦も経験しそうな独特の緊張感の中で、どれだけやれるかお手並み拝見と行きたいところですし、そこそこもたついた時期があったにせよまだ21歳ですから、今後まだまだ大きく育っていく素養も十分。性格的にも非常に明るいようで、順調な出世を果たした数年先には、富士東キャプテンの下、「ジャイアントキリング」大食いバトルでその勇姿を眺める日が来るのかもしれませんね(笑)

<取り口>
なんといっても、200キロ近くまで増えてきた分厚い体でブリブリと猛進していく攻撃性が魅力で、またそこがきわめてシンプルに強化された結果の躍進。そのあたり兄弟子政風が強くなった流れともよく似ています。

幕下中~下位の低迷期は、持ち味である重さを持て余している印象が強く、立ち合いで起こされてあっさり前に落ちたり、引っ張りこんで相撲が長引くようなことも多かったのですが、そのあたりがどう変わってきたのか、以下でより詳しく観ていきます。

まず立ち合いはガシッと下から受け止めるような立ち合い、もしくは頭から踏み込んでいくケースもありますが、得意は左四つ。ただ、それに拘りすぎず、前に出ながらの流れで自ずからそういう体勢を深めていける圧力がついてきたのが成長ですし、九州では栃飛龍、肥後ノ城、大雷童といった突き押しを持ち味とする上位常連の実力者を相手の踏み込み、二の矢にもまったく下がらず、真っ向から圧力を加えて圧倒する内容があり、相手が泡を食ったようなところもありました。こうして相手を正面に捉えて相撲が取れれば、土俵際で逆転を食うケースが多いという課題もだいぶ克服されていくはずで、何より立合いで少しくらい踏み込まれても何のそので巻き返していく取り口を可能とする下半身の安定を体重が増え続けている中で実現できているのも見逃せないポイントでしょう。上で書いた通り、大きな怪我をした経験もなく、年齢通りの「動ける」質感を維持できているのが良いですし、今後もここ数場所のように前へ攻めていく相撲をベースと出来れば、怪我のリスクもそれだけ減っていきます。

課題としては、向かっていく圧力に対しては強いものの、やはり左右の崩しや投げ、足技などの対処に関しては重さ故の脆さを露呈することがある点、またそれと関わっていきますし、現状やむをえないところもある部分ですが、左四つ、右は抱えたような決して十分ではない体勢でも強引に出過ぎてしまう嫌いがあるところ。九州の鬼嵐戦、それ以前でもそういう相撲が幾つかありましたが、今場所をはじめ幕下上位まで来ると、さすがに易易と土俵を割って貰えないケースも増えてくるでしょう。

もちろん、左の差し手だけでブリブリ攻め進んで土俵際まで持っていく流れを作れるという点がそもそも成長の証ではあるのですが、やはり理想としては左をさらに返して、右は上手の形で慌てず力強く寄り切る重厚な取り口となってきますし、その点においても九州の亀井戦あたりは、左を差し負けた中でも焦らず機を見て巻替え、応酬となったところで右上手を掴み、そこからは猛然と前へ圧力を加えていく非常に内容の良い取り口で四つ相撲の実力者を下していますから、今後、場所を重ねる中でより安定した勝ち身として、そういう型を身につけていく余地はあるでしょう。
ただ、今、そういうことを考えすぎて変に出足が鈍るようなら逆効果だし、1点目の課題にも係ってきますが、形に拘りすぎずに体を生かした相撲を成長させている過程、とにかくしっかり当たって、相手を止める・起こす、そして相手と正対した形でブリブリと前へ圧力をかけていく気持ちのよい相撲っぷりでぜひ、上位の壁を超えてほしいなと思います。

結果だけでなく
内容も以前のおとなしい印象から劇的に進化させての躍進、改めて何番か見返してみると、舛ノ山のそれにも似ているのではないかなと思うほどに積極的な相撲を取るようになってきています。来場所、一筋縄に行くかどうかは分かりませんが、部屋としても久々に叩き上げから育て上げた逸材ですから、並々ならぬ期待を受けていることでしょう。
師匠である元琴風のような力強く勇ましい取り口で、将来的にもまず三役昇進までは果たして欲しいし、その先鞭を切るかのごとき、今年1年であってほしい。予想ではなく、期待となりますが、今年中には関取、それもかなり幕内に近い場所まで上がって欲しい力士。ライバルである千代嵐との関係性も、今は再度番付で追い抜いた形となっていますが、永く上位で戦い続け、出世を競い合う存在となってもらいたいものですね。


次回はモンゴル出身、
錣山部屋所属のホープ、青狼を紹介します。